壁面とアイランドの什器に商品を並べて構成されることが多い、物販店。見せたい商品の順位性や動線がある程度決まっており、商品を選択する自由度が抑えられているように感じる。そういった画一的なスタイルとは違う、お客さまが商品との出会いをもっと自由に楽しめる空間を我々は創りたいと考えた。

そこで、スチールメッシュ素材を円筒状に丸く曲げることで強度をもたせて自立させ、空間内へ自在に配置。その中へ半透明の樹脂板を自由な高さに設置し、商品を陳列できるよう計画した。樹木が林立したようにも見えるこの空間で、商品は木になる実のように浮かび上がり、個々の存在感を高める。まるで森の中を歩くかのような雰囲気の中で、商品との出会いや発見を楽しむことができる。全ての商品を主役として見せ、このような自由度の高い動線計画にすることで、お客さまが想像力や好奇心を膨らませてくれると期待している。それは「女性本来の魅力を引き出す」というブランドコンセプトの一文にも通じると考えている。

規則性や誘導をできるだけ抑えたこの空間で、本当に自分に似合う商品との新しい出会いが、ひとつでも多く生まれることを願っている。

※内容は開業した2012年当時のもの